toggle
2019-03-06

山口県東部地区部落問題研究会に700人が参加!


山口県東部地区部落問題研究会第28回講座が2月13日、岩国市民会館で開催され行政や企業など700名が参加し学習を深めました。

講演①では「部落問題の今日的課題と部落問題学習のポイント」と題し、尚絅学院大学の内田龍史教授からの講演がおこなわれました。
講演②では「ハンセン病問題~家族訴訟にふみきった思い~」と題し、ハンセン病家族集団訴訟原告団の黄光男(ファン・グァンナム)副団長からの講演が行われました。

以下は、内田龍史さんの講演メモです。

「寝た子を起こすな」論の背景~部落問題学習のポイント~

部落差別の現在
現在の部落差別は、結婚差別、差別発言、差別落書き・書き込み、身元調査(戸籍不正入手・問合せ)などがあり、特に近年は情報化社会の進展によって差別や偏見が拡散・拡大している。部落(人・土地・運動・関係者)へのマイナスイメージの増幅、ヘイトスピーチ、差別扇動、身元暴き(鳥取ループ)などが深刻化しており、2016年に部落差別解消推進法が施行された。

「寝た子を起こすな」
各地の人権意識調査の結果をみると、どこでも2~3割の一定層で「寝た子を起こすな」という意識の人たちがいる。
「寝た子を起こすな」の背景として、①大多数のマジョリティの子ども・若者にとって「部落の人に会ったことがない」「どこが部落かもわからない」、②「部落差別を過去の話だと思っている」「部落差別にリアリティがない」という前提がある。つまり、適切な情報がなければ、容易に「寝た子を起こすな」論になる。

部落問題学習ポイント
学習の大きな目的は(1)部落差別の撤廃、(2)当事者のエンパワメントである。
部落差別の撤廃に向けた学習では、人権一般の抽象的な学習でなく、部落差別・部落問題に具体的に学ぶことが重要であり、その際に「差別の現実から学ぶ」ことが大前提である。歴史学習だけであれば「部落差別は昔の話。今はもうない」という認識のままであり、現実の差別問題の解決に向けた取り組みにはつながらない。

当事者のエンパワメント(肯定的なアイデンディディ形成)のために重要なポイントとしては、

が重要になる。

偏見・差別解消に大きなポイントは、当事者との出会いが重要。マジョリティにとっては偏見の解消になり、マイノリティにとっては肯定的アイデンティティ形成になる。

黄光男さんの講演メモ

ハンセン病家族の集団訴訟への思い

黄さんは1955年大阪府で在日朝鮮人2世として生まれ1歳のとき、母親と姉がハンセン病を発病し、岡山の長島愛生園に強制隔離された。高校卒業後、尼崎市役所職員に採用。ハンセン病の親のことは友人や職場で語れなかった。
黄さんは2016年、ハンセン病家族集団訴訟原告団の副団長として、誰がどのようにして家族に被害が生じるように仕向けたのか、家族の被害の全容を明らかにしたいとの思いから実名を出し、国を相手に裁判を起こした。

残された課題  
全国のハンセン病療養所には納骨堂がある。死んでもなお、ふるさとの墓に入ることが出来ない。「無らい県運動」で強制隔離された時点で、家族とは断絶させられてきた。国が謝罪したが、無知と偏見により、ふるさとへ帰れない人が多い。裁判を通して、家族と当事者の断絶した関係が修復され、堂々とふるさとを訪ね家族とふれあえるようにしたい。亡くなっても遺骨がふるさとに帰れるようにしたい。

関連記事