性暴力救援センター・大阪 SACHIKO  高見陽子さん

5月21日に丸亀市で開催された全国女性集会の記念講演で、
性暴力救援センター・大阪の高見陽子運営スタッフより、
同センターの取り組みや、性暴力の実態と支援の課題などが報告された。
以下、講演概要を報告する。

■ウイメンズセンター大阪
ウイメンズセンター大阪は、1984年に発足した。
当時、いくつかの病院で女性の子宮や卵巣を病気でもないのに摘出していたことが分かった。

女性の生殖器への差別が医療の中でおこなわれており、これは「社会的暴力だ」と考え、
「女性のためのクリニック」をつくろうと発足したのが始まり。
現在、女性のココロとカラダのサポート、カウンセリング、無料電話相談、女性科クリニックなどをおこなっている。

■性暴力とは
 同意のない・対等でない・強要された性的行為はすべて性暴力である。夫婦間での無理矢理の性的行為など、DVとしての性暴力、子どもへの性虐待、強姦・わいせつなどの性暴力などである。これらは、被害者の心とカラダを深く傷つけ、人間としての尊厳を脅かす、人権問題であり、医療問題である。被害者の救援に向け、産婦人科医療の果たすべき役割は大きい。

 診察を通じて、身体的外傷や感染症の状態を正しく伝え、被害者が悪いのではないことと、将来的に後遺症を残さないことを伝えることにより、被害者のこれからの人生のために、身体のイメージの回復をほどこすことが、診察の目的である。

 そのためには、①初期対応の重要性、②ゆったりとした環境で時間をかけて、どうするのかを被害者が決めることが出来る状況を作ること、③被害者のエンパワーメントを支えること(「あなたは悪くない」というメッセージを伝える)、④安全な場所の提供、⑤他機関との連携などが必要である。

■性暴力救援センター・大阪(SACHICO)
 性暴力救援センター・大阪(SACHICO)は、性暴力の直後からの総合的支援をめざし、阪南中央病院内に設立した(昨年4月開設)。
 ウイメンズセンター・大阪ではなく、阪南中央病院内に設立したのは、病院には警備員がいることで、支援員にとっても被害者にとっても安全だからである。
 SACHICOには、24時間ホットラインがあり、支援者と産婦人科医師が24時間待機・対応する。その後、カウンセラーやケースワーカー、弁護士なども対応し、大阪産婦人科医会、ウイメンズセンター・大阪、警察などとも連携し、被害者の安全と医療支援ネットを作っている。
 SACHICO開設一年の現状は、電話相談件数1463件(実人数510人)、来所件数348件(実人数283人)である。最近は、性行為中に携帯ビデオを撮られ、それをもとに脅されて誰にもいえないというデートDVのケースが多い。

■最近の被害の特徴
 先月(4月)のレイプ事例をみると、被害者は10代が非常に多いことが分かる。
 加害者は全く知らない人ではなく、親戚や母の恋人、異父、異父兄などの身近な人が多い。しかも、10代の子どもたちは、なかなか家族には言えていないことが多い。
 また、警察に行ったとしても、あれこれ事情聴取をされ、二次被害を受ける。ある被害者は、何十年も経った今「警察の事情聴取がすごく怖かった。うなずくことしかできなかった。でも、あのとき私は、被害を訴える言葉を持っていなかった」と語る。

■今後の課題
 SACHICOの運営はすべて寄付基金で成り立っている。DVに関しては、公的支援体制が整い始めているが、性暴力被害に関しては公的なサポートがまだまだ不十分である。
 また、縦割り行政の弊害もある。全省をあげて取り組まないと、性暴力犯罪をなくすことは難しいし、男女共同参画社会など実現することは出来ない。
 最後に、被害を受けた子が悪いんじゃない。それだけは、心を込めて言って欲しい。そういう被害を受けた子が、被害を訴えることができる社会にしたい。私たちも、被害を訴えてもらえるおとなになりたい。  
(文責・編集部)